Murder a sponsor.
 赤羽さんの死は、廊下に張られたピアノ線によるものだった。

 怖い都市伝説の1つに“首なしライダー”というものがあるが、それと同じようにピアノ線が喉に食い込み、切り裂いたのだろう。

 赤羽さんは全力で走っていたため、余計に深くまで喉に食い込み、切り裂く力が加わったのだろう。

 赤羽さんが振り返った際に見た、ぱっくりと開かれた傷口が脳に焼き付いて、頭から離れない。

 今まではなるべく見ないように顔を背けてきたが、今回はもろに見てしまったから、余計に……。

 ここしばらくの間、牛や豚の肉や……トマトや苺なんかの赤い食べ物が、食べられないかもしれないな……。


「真人くん、大丈夫?顔色が真っ青だよ……」


 国語準備室に戻った俺達は、各自、腰を下ろして休憩していた。

 俺も床に座り込み、休憩していたわけだが……琴音に今にも泣きそうな声で話し掛けられ、俺は思わず笑みを零した。


「なんつー顔と声をしているんだよ。そんな泣きそうにならなくても、俺は大丈夫だよ」

「でも……」

「だから、大丈夫だって。俺達は絶対に生き延びる。なっ?」

「う、うん……」


 安心させるためにも、俺は琴音の頭をくしゃりと撫でてやった。
< 72 / 87 >

この作品をシェア

pagetop