Murder a sponsor.
 時間は下校時間である夕方を過ぎ、徐々に日が落ち始めていき、辺りは暗くなっていった。

 おそらく、誰一人としてこの学校から出ていないだろう。何百人といる生徒、何十といる教師が誰一人として、だ。

 帰ってこない我が子を心配し、警察に通報するなり学校まで様子を見に来る親がいてもおかしくないだろう……と、思っていたのだが。

 暗くなってきた今、それらしい動きは無いように思える。

 まだこの事態に気が付いていないのか?まさか、それとも……。


「私達……ちゃんと帰れるよね?」


 シンと静まり返っている国語準備室。助けが来るのを待っている俺達は、特に言葉を交わすこともなく、ただひたすら座り込んで時間が過ぎるのを待っていた。

 そんな中、その静寂を破ったのは、熊沢の独り言ともとれる呟きだった。

 「当たり前だろ!」ほんの数時間前なら、俺はそう言っていただろう。だが、夕方を過ぎてもなんの動きもないところを見ると……そんなこと、口が裂けても言えなかった。

 俺自身、不安になっていたんだ。本当に助けは来るのか。来るとして、それはいつになるのか。あと、どれくらいの時間、俺達はここで血の匂いを嗅いでいればいいのか……。

 不安と恐怖が、心の内を支配していく。
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