Murder a sponsor.
「何か言いなさいよ……!」


 体育座りの格好で、膝に自分の顔を埋めていた熊沢は、顔を上げて辺りにいるみんなを見渡した。

 しかし、みんなは俯いており、とてもじゃないが、話せるような雰囲気ではなかった。

 今日起こった1日の出来事といい、これから起こるかもしれない何かのことを考えると……話せないでいるのは人として当然のことなのかもしれない。


「ねぇったら……!」

「知りませんよっ!!!」


 熊沢のしつこい言葉に痺れを切らしたのか、新名が珍しく声を荒げて怒鳴り散らす。

 それには、同じクラスである俺も琴音も……熊沢もビックリしていて、自然と口が開き、目を見開いた。

 根が真面目なだけに、いつも冷静な判断をして穏やかなヤツなのに……。こんなに取り乱す新名は、初めて見た。それほどまでに、精神的に追い詰められているということなのか。


「なっ、何よ!急に大きな声を出さなくてもいいじゃないっ!」

「君が大声を出させたんじゃないんですか!ちゃんと帰れる?そんなこと、僕達が分かるわけがないじゃないですか!いつ死ぬのかだって分からないのにっ!!!」


 新名にそう言われ、熊沢は黙り込んでしまった。
< 75 / 87 >

この作品をシェア

pagetop