Taste of Love【完】
「佐々木の裏切者―!」

 風香はひとり中級者コースのゲレンデで叫んでいた。

 あまり周りに人がいないのを確認して座り込んでいた。

 さっそく着替えてゲレンデに出たメンバーとともに風香も準備をした。

 そして約束通り佐々木に指導してもらっていた。

 三十分ほどしたところで、一度一緒に滑ってくれた。「あとは習うより慣れろ」などと、お決まりのセリフを吐いて、風香をひとりにしたのだ。

 しかも、初心者コースではなく中級者コースに。

 「こんなことなら、盛岡さんのペンションのお手伝いしていた方がましだった」

 さっきから、転びすぎて体中が痛い。

 風香はゲレンデの端でふてくされていた。

「風香。何やってるんだ?」

背後から声をかけられ、振り向く。

「あ、翔太。」

颯爽と滑り降りてくる翔太は、後ろに太陽を背負っていて眩しい。 

スイスイと滑り降りてきちんと風香の横で止まった。

「翔太ってば、滑れるの?」

「滑れるっていうか、転ばないだけ」

ゴーグルを外して笑顔を風香に向けた。

「それを、滑れるって言うんじゃないの?」

 拗ねた様子の風香を、クスクスと笑いながら翔太は風香に手を差し伸べた。

「ありがとう」

ゆっくりと立ち上がりお礼を言う。
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