Taste of Love【完】
「あっ!」

「ン…!」

――カチッ

そのとき、ふたりの唇がぶつかり、歯と歯の当たる音がした。

間違いなく唇と唇が触れている。

風香は驚いて、すぐに翔太の上からどこうとする。

「ごめん翔――」

 風香の謝罪の言葉は、翔太の唇によって遮られた。

 翔太の大きな手が、風香の後頭部に添えられている。

 その手で風香が逃げるのを阻む。

「ん……しょ……」

 離れようとなんとか言葉を紡ぐが、それももう一度翔太からのキスで掻き消された。

「ごめん……ちょっとだけ」

 少し離れた唇から紡がれる甘く掠れた翔太の声に、風香は逆らうことができなかった。

 再度濡れた唇が重なる。

(どうしよう……キスしてる……)

 こういう時どうすればよかったのか、必死に考えてみるが、加速する胸の音が邪魔してそれを阻んだ。

 鼻をかすめるのは、時折嗅いだ翔太の匂い。

 風香の感覚すべてが今は、翔太に支配されていた。

 どれくらいの時間そうしていたのだろうか。そんなに長い時間ではないはずだ。

 唇が離れ、風香はそっと目を開けた。

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