Taste of Love【完】
 それから、何度か滑ってみたもののさっきの翔太とのキスが気になってしまい結局他のみんなよりも早くペンションへと戻った。

 一足先にお風呂で体をあたためた後、窓際のソファで盛岡の妻の淹れてくれたココアをゆっくりと飲んでいた。

 外では宿泊客の親子連れが雪だるまを作っていた。

 そのほほえましい光景をみていても思い出すのは先ほどの翔太のことだった。

(翔太の気持ちは分かってる。わからないのは自分の気持ちだ)

 手元の温かいココアに息を吹きかけてから、一口飲んだ。

「……甘い」

ひとり呟いたつもりだったのに言葉が返ってきた。

「そこ、座ってもいい?」

 顔をあげるとそこには、風香を悩ませる張本人――翔太が立っていた。

 隣の席をゆびさされて、風香はコクンと頷いた。

 ソファは翔太の体をうけて、沈んだ。

 隣に座った彼は、持ってきたコーヒーを一口飲むと口をひらいた。

「さっきはごめん……あんだけ待つって言ってたのに、俺なさけねーな」

 気まずいのか、マグカップをみつめたままだ。

「ちょっとビックリしてる」

「嫌だった?」

 ふいに顔を覗き込まれて驚き、首を横にふることしかできない。

「そっか、ならよかった」

 隣を見ると安堵したように背もたれに、深くもたれていた。

「嫌じゃないってことは、まだ期待していていいんだよな?」

改めて尋ねられた。風香は決心して今の思いを伝えた。

「翔太のことは嫌いじゃないよ。むしろ好きだと思う」

「思う?だったら……」

 背もたれから起き上がって風香を見つめた。
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