Taste of Love【完】
「でも、それが過去の恋からくるのか今の思いからくるのかはっきりしないの」

「過去の恋?」

「そう、高校生私の翔太への実らなかった恋」

 今でも思い出すとまだ胸がキュッと痛い。

「あのときのことがトラウマになってるの。それぐらい翔太のこと好きだったってことなんだけど……」

 なるべく重い雰囲気にならないように話す。

「気付いてやれなくてごめん」

「翔太が謝ることじゃないよ。きちんと勇気を出さなかった私が悪いんだから。ただ、こ のままの状態は辛いの」

 真奈美からも指摘されている。自分の都合のいいように翔太を待たせていると。だから自分の今の気持ちだけで
も翔太に伝えておきたい。

「風香が辛いの? それは俺が無理矢理好きだって迫ってるから?」

「違うっ!違うの。自分の気持ちがわからないの、どうしたらいいのか。それで翔太を待たせてることが辛いのよ」

 自分の切実な気持ちを訴えた。

「ははっ。なーんだそんなことか」

風香が悩んでいるのに、明るい声で返事が返ってきた。

「そんなことって……」

「ごめんな。悩んでるのに。でも俺のことで悩んでるならそれでいいよ」

にっこりと笑顔を風香に向けた。

「なんだか、大人になって自己中になったんじゃない?」

風香は翔太の独占欲をみせられて、はずかしくなって誤魔化した。

「そう?もともとこんな感じなんだけどな」

 笑う翔太の口元から、白い歯が覗いていた。

(少しでもいいから、自分の気持ちに向き合っていこう。翔太はきっと待ってくれる)

 それが翔太に対しての甘えだと風香はわかっていた。
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