Taste of Love【完】
「実は、その見合いの相手は私の従妹なんです」

「そうなんですか」

 風香が予想した通り、彼女は横山専務の親類だった。

「彼女とても喜んでいたんですよ。なのに、会ってもくれなかったって」

「会わなかったって、お見合い自体をしなかったということですか?」

 風香には会うだけは会うと言っていたはずだ。

「はい。好きな人がいるからお見合いはできないって」

「……そんなっ」

「好きな人って、結城さんのことですよね?」

 ズバリ聞かれて、風香は何も言えなくなる。

 まっすぐな翔太のことだ。きっと風香のことを思って断ったに違いない。

「何も言わないんですね」

 そのセリフに非難が含まれているように感じた。

「部外者同士が話をしても仕方ないでしょう」

 自分がここで発言したことが、今後大きな問題になるかもしれない。

 そう思うと風香は口を閉ざすしかなかった。

「そうですね。部外者だから、三栖室長が海外へ飛ばされても関係ないですよね」

「な、それどういうこと!?」

 思わず大きな声を出してしまう。

「ご存じないんですか? 三栖室長はお見合いを断ったために海外へ異動になるんですよ」

(そんな……私何も聞いてない)
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