Taste of Love【完】
 驚きで目を大きく開き、拳を強く握りしめた。

「どうして、そんなことに……」

「自慢の娘が、足蹴にされて専務は一体どう思ったでしょうね? でも今回のことで間違いなく、彼の人生は狂ったはずです」

 (自分のせいで翔太が……) 

 何も返すことができずに、ただ黙り込む風香に相手は席を立った。

「余計なことを、すみませんでした。ただあなたは、知っておくべきだと思って」

「そうですね。ありがとうございます」

 小さく挨拶を返して、去って行く相手の背中をただ見つめることしかできなかった。
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