時の彼方に君がいた
「戸締りは」

「二階の窓以外開けてないから」


外に出ると生ぬるい風が頬をなでた。


「もう、夏だね」


「とっくに夏だよ」


ついさっきまで自転車を漕いでいたであろう兄は、


額にうっすら浮かんだ汗をぬぐいながら私に苦笑いを向けた。


「どこ行く?」


歩きながら尋ねると


「こないだできたファミレスでいいだろ」


とどうでも良さそうな声が返って来た。


「……自転車乗ればよかった」


今さらながらに気づいた私はため息をついた。


「いいだろ、たまには運動」


そう言って笑う兄は


はじめから歩くつもりでいたらしかった。


何も考えずに隣を歩いていた私は


横目に霖を見て


妙に楽しそうだな、と笑いたくなった。


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