時の彼方に君がいた
♤♧



『僕等』が五歳の時に母が死んだ。


交通事故で、僕等も後ろの席に乗っていた。


母がいなくなって以来、


父と姉と兄と僕等で暮らしをしている。


父は仕事が忙しくて


僕等と兄の霖は、半分くらい


年の離れた姉、郁に育てられた。


郁は社会人になってから


父なみに仕事に追われる身となってしまったので


三月まではもっぱら僕等と霖で


夜の留守番をしていたのだが


霖の帰りが遅くなってからは


僕等だけで家にいることがほとんどだ。


外食なんて本当に久しぶりだった。


中学の頃は父と姉には内緒で


霖と一緒に食器棚の上に置いてある缶から千円札をとって


よく食べに行っていた。


夜に子どもだけで外食しに行くことに


妙に気分が高揚して


霖と顔を合わせて


忍び笑いを漏らしていたのを覚えている。


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