時の彼方に君がいた
家に帰ると時計は9時30分をさしていた。


夜風にあたっているのは思いのほか気持ちが良くて


帰りの道を遠回りしたので


けっこう時間がかかってしまった。


姉と父はまだ帰っていない。


「風呂先入っていい?」


僕が尋ねると


霖はどうでも良さげにこくりとうなづいて大きなあくびをした。


「あーあ、勉強しないと」


兄の言葉に僕は、


三年生にはなりたくないと切実に思ってしまった。


受検勉強は他人事ではない。


僕は兄同様、国立の大学を目指している。


もともと通っている高校のレベルが違うにもかかわらず、


僕の成績表は兄に比べるとかなり見劣りする。


目指す学科が違うとはいえ


今の僕は兄と同じ大学を目指すには学力が足りない。


本来ならば僕も受検に向けて


助走をかけなければならない時期に


さしかかっているのだろう。


高校受験の時、どつやって勉強してたっけ


僕はどうやってやる気のスイッチを押していたのだろう。


今の僕には勉強に対する気力などなかった。

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