時の彼方に君がいた
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土曜日の『翼』は早起きだ。


平日は兄に起こされるまで


てこでも目を開けようとしないのだが


土曜日の朝は特別なのだ。


「おはよう、翼。早起きね」


台所に行くと


疲れた顔をした姉がコーヒーを飲んでいた。


目の下にくまができている。


スーツを着ているところを見ると


今さっき帰ってきたばかりらしい。


「おかえりなさい、パン食べる?」


かごの中の食パンに手をのばしながら尋ねると


「いい、いらない。寝てくる」


と弱々しい笑みが帰ってきた。


痛々しい目元に本物の笑みが漂っている。


妹の目に映る自分の疲れきった姿を想像して


笑えてきてしまったのかもしれない。
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