時の彼方に君がいた
微笑むと、姉の郁は


驚くほど写真の中の母に良く似ている。


真っ直ぐな黒髪に切れ長の瞳。


黒ぶちのメガネさえかけていなければ、生き写しといってもいい。


もっとも生真面目でどこか能天気な性格は兄が受け継いだらしい。


僕等の中には母の思い出はほとんどないので、


内面については父や姉から聞いた話でしかないが。


「昼ごはんはいるの?」


「んー、いる、昼になったら起こして」


姉のあっさりした性格は


父や母から受け継いだものではないだろう。


ふらふらした足取りで自分の部屋へ向かいながら、


郁は自然な動作で僕の頭をなでて通りすぎていった。


郁にとって、年の離れた『翼』と霖は


弟と妹というより、


自分の子どものような感覚なのかもしれない。
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