時の彼方に君がいた
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♤♧


月曜日、めずらしく


予鈴が鳴る十分前に教室に入ると


これまためずらしいことに


水野が他の男子の席でたむろすることなく、


自分の席に座っていた。


「おはよう、藤音」


斜め後ろを歩いている時点で声をかけられて、


僕は思わず足を止めた。


「……おはよ、何で分かったの?」


「んー、藤音の気配はすぐに分かるんだよ」


振り返ってニッと笑う水野に


僕は笑みを向けた。


「嘘だね、土曜日は気づかなかったもん」


「……土曜日?」


澄んだ瞳に戸惑いを浮かべる水野に


僕は横断歩道ですれ違ったことを話した。


「水野、女の子と手繋いでわたしの横、通り過ぎて行ったよ」


なぜか困ったような顔をしている水野が可笑しくて


僕はからかうように言った。


「彼女?かわいい子だね」


「……へへ」


水野は照れているのか


微妙な色を浮かべて笑みをこぼした。
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