時の彼方に君がいた



*****



僕は美術部に所属している。


活動日は月、水、金の週三。


文化部の中でも特に緩くサボってもお咎めなし。


活動内容は自由。


一年生の半数が二年生に上がる前に


限りなくユーレイ部員に近い存在となる


10月にある文化祭への作品の出展は必須なので、


その時季だけは広い部室が少しだけ狭くなる。


今は七月。


掃除が長びいていつもより遅れて部室に入っても、


案の定、三年生が一人と一年生が二人しか来ていなかった。


部員は全学年合わせて12人いるはずなのだが。


「先輩、今日はいつにもまして少ないですね」


窓際が定位置の先輩、遠山 杏子に話しかけると、


「今年の一年生は特にこなくなるのが早いや」


と少し寂しげな笑みが返ってきた。


「来年の翼は、今のわたしみたいになりそう」


ぽつりと呟く杏子先輩の


さらさらとした髪を


風が優しくなでた。


杏子先輩は三年生になっても活動を続けている、唯一の先輩であり


前期の副部長。


大人しくて穏やかな人だ。


「放課後の美術室に一人ポツんだったら、なんかわたし悲しい人ですねぇ」


僕がとぼけた口調で言うと、


「はははっ、その時はなぐさめに来てあげるよ」


と杏子先輩は声を上げて笑った。


明るい笑い声が心地良く響く。




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