時の彼方に君がいた
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僕は美術部に所属している。
活動日は月、水、金の週三。
文化部の中でも特に緩くサボってもお咎めなし。
活動内容は自由。
一年生の半数が二年生に上がる前に
限りなくユーレイ部員に近い存在となる
10月にある文化祭への作品の出展は必須なので、
その時季だけは広い部室が少しだけ狭くなる。
今は七月。
掃除が長びいていつもより遅れて部室に入っても、
案の定、三年生が一人と一年生が二人しか来ていなかった。
部員は全学年合わせて12人いるはずなのだが。
「先輩、今日はいつにもまして少ないですね」
窓際が定位置の先輩、遠山 杏子に話しかけると、
「今年の一年生は特にこなくなるのが早いや」
と少し寂しげな笑みが返ってきた。
「来年の翼は、今のわたしみたいになりそう」
ぽつりと呟く杏子先輩の
さらさらとした髪を
風が優しくなでた。
杏子先輩は三年生になっても活動を続けている、唯一の先輩であり
前期の副部長。
大人しくて穏やかな人だ。
「放課後の美術室に一人ポツんだったら、なんかわたし悲しい人ですねぇ」
僕がとぼけた口調で言うと、
「はははっ、その時はなぐさめに来てあげるよ」
と杏子先輩は声を上げて笑った。
明るい笑い声が心地良く響く。