彼がヤンデレになるまで


「シャワーでも浴びて、着替えた方がいいですよ」


カルツの頭をわしゃわしゃするが、何せ身長差があるため、てっぺんまで上手く拭けない。


大きな子供だと、“猫”はバスローブをカルツに預けた。


やはり裸であることが落ち着かないらしい。今しがた着ようとした、ドレスに着替えようとする。


その間、カルツは受け取ったバスタオルを力強く掴む。


顔にあて、皮膚から感じたんだ。


「あったかい」


目を瞑るほどに、心地が良い。


「何これ、凄いよ」


「そりゃあ、今の今まで着ていたものですから」


「お前は冷たいかと思った」


「生きていれば温かいんですよ」


むず痒くなる会話だと、“猫”はカルツに背を向けていたが、ドレスを着たところで――


< 31 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop