彼がヤンデレになるまで
――唇が、青い。
そう認識するなり、ミナナは爪先立ちとなった。
体が倒れないよう支える腕に、下を向くカルツの行為もあれば、自然と唇が触れ合う。
軽いものだ。
一秒ほどしかない触れ合いでも、カルツは嬉しそうに笑う。
「この気持ちの名前、教えてほしいな」
「さあ。他人の気持ちなんか知りません」
「ミナナも同じ気持ちじゃないの?」
「……」
認めたくないからこそ、口を一文字にするミナナ。
そこにまた、カルツは触れ合おうとし、ピタリと止めたのは来訪者があったから。
雨の音で気付かなかったが、既に家の中にいるらしい。
ミナナとて気付いたらしく、カルツから離れ、マカロフを構える。