愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】


私の記憶が一気に巻き戻されていく…


それは、大好きな男の子にバージンを捧げた高校2年、16歳の夏だった―――…


必死に痛みに耐えながら抱かれた初めての人…


そして、何も言わず私の前から居なくなった愛しい人…


こんな事って…


全身の力が抜け、私の手からゆっくりグラスが滑り落ちていく…数秒後、大理石の床の上で乾いた音をたてグラスが粉々に砕け散った。


「真央!!」


龍司に体を引き寄せられハッと我に返る。


「あっ…あぁ…。ごめんな…さい」


慌てて床に屈みガラスの破片を拾い出した私の手を龍司が掴んだ。


「真央、危ないから触らなくていい。今、掃除機持ってくるから…」そう言うと、龍司は一目散に部屋の中へと走り出す。


2人っきりだ…


床にペタリと座ったまま、少し顔を上げ消え入りそうな声で訊ねた。


「和弥…和弥だよね…?」


4年半ぶりの和弥は、すっかりスーツの似合う男性になっていた。


私の知ってるあの真っ黒に日焼けしてサッカーボールを追いかけていた16歳の和弥と同じ人とはは思えないほど落ち着いた表情で私を見ている…


「和弥なんでしょ…?」

「あぁ…」


和弥は一言そう答えると、私の前にしゃがみ込みガラス片を拾いだす。


まるで幻を見てる様な気分だった…会いたくて会いたくて堪らなかった和弥が、今、私の眼の前に居る…


この手を伸ばせば届く距離に…居る。

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