愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

車に辿り着くと和弥は後部座席のドアを開け「早く乗って!」と私を押し込む。


助手席ではなく、後ろの席…


彼の上着に付いた水滴を手で払い落とし、運転席の和弥に声を掛けた。


「有難う…濡れちゃったね…」

「気にする事ない。安物のスーツだから…」


素っ気ない言葉と共にゆっくり動きだす車。なんか気まずくて、互い何も喋らず沈黙が続く。


車内に重苦しい空気が流れ落ち着かない私は和弥のスーツの上着をギュッと握り締め彼の後姿をただ見つめていた。


「…この前は、悪かった」


和弥が突然、前を向いたまま話し出した。


「マンション出る時、キツい事言って…あんな事、言うつもり…なかった」

「うぅん。私もゴメン…和弥に会えて、嬉しくって…つい…」

「でも、新川部長はホントにお前の事、好きなんだな…」

「えっ?」

「仕事にプライベートを持ち込むなんて絶対にしなかった部長が、会社の車で女を向かえに行かすなんて…信じられないよ。そういう事を一番嫌ってた人だからな…」


バックミラーに映る和弥の眼が笑ってる…


「いい人と出会えて…良かったな…」


和弥…それがあなたの本心なの?


和弥の温もりが残るスーツの上着を彼に気付かれない様にソッと抱き締め聞いた。


「和弥は…本当に、そう思う?」


和弥の胸の内を…本当の気持ちを…知りたい。

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