愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
「いや…帰るよ」
「そんな事言わないで。玄関で帰したなんて龍司に知られたら、怒られちゃう」
龍司の名前を出せば、和弥は断れない…そう思った。
「じゃあ、ちょっとだけ…」
以前なら、和弥と2人っきりだと思うだけでドキドキしたけど、ほら、大丈夫。こんなに平然としていられる。私の中で、もう和弥は過去の人になったんだ。
余裕の笑みを浮かべ、和弥から受け取ったバラの花束を花瓶に挿し、ダイニングテーブルの上に置く。
でも、そう思ったのは、和弥が花瓶の横にあるチョコに気付くまでのほんの数分で…
バラに見とれてる私の横に立った和弥が、チョコを指差し「部長に?」と聞いてくる。
「…うん」
「買ったやつだろ?」
「えぇ」
「その方がいい。手作りは悲惨だったからな…」
あ…
再会して初めて見た和弥の本当の笑顔…高校時代と変わらない優しい笑顔。その笑顔を見た瞬間、私の心は大きく乱れた。
「覚えててくれたんだ…」
「まあ…な。かなりインパクトあったから」
和弥とこうして昔の話しが出来るなんて思わなかった。懐かしさで胸がキュンとして、またあの頃を思い出してしまう…
「5年前の…今日だったんだよね」
「そうだな…もう5年経つんだな…」
まさか5年後に私達がこんな形になってるとは、あの頃の幼い私達には想像も出来なかったよね…
私達は確実に大人なり、別々の道を歩き出したんだ…
決して、交わる事のない別々の道を…