愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
40分ほど走ると車はなだらかな坂を上りだし、道路の両側には庶民の私なんかが到底住めそうもない高級住宅があちらこちらに…緊張が増していく。
「ここだよ」
車が止まった場所は、四方を高い塀に囲まれた時代劇に出てきそうな家の前。家と言うより、お屋敷と言った方がしっくりくるかも…
歴史を感じさせる大きな門を抜け、手入れの行き届いた庭園を進むと重厚な日本家屋が現れた。
「…凄い」
その言葉以外、見当たらない…私みたいな人間が、こんな所に来て良かったのかなぁ…
今更ながら後悔してしまう。
重い足どりの私とは対照的に、龍司は足早に玄関に向かって歩いて行く。置いてかれたら大変と、慌てて龍司の後を追い走り出す。
やっと辿り着いた玄関。龍司が大きな引き戸を開け「ただいま」と声を掛けると、広い石畳の様な玄関の奥から明るい声が聞こえてきた。
「はーい!!お帰りなさーい」
現れたのは30代半ばだろうか…とても上品でスレンダーな女性
「真央、兄貴の奥さんで、香苗(かなえ)さんだ」
「あ…お兄様の…」
私は姿勢を正し慌てて頭を下げる。
「初めまして…北沢真央です」