愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
「私が入っても…いいの?」
「あぁ…」
私達の間で交わされた会話はそれだけだったけど、その言葉の中には、様々な想いが錯綜していた様な気がする。
お互い背負っているモノがある。特に和弥には…それでも私を受け入れてくれるの?パンドラの箱を開け禁断の渦の中に身を投じる覚悟は出来てるの?
ドアを開ける和弥の横顔…何かを決断した様な鋭い眼をしている。
このドアの向こうに足を踏み入れれば、もう引き返せない。そんな気がした…
それが、天国でも…地獄でも…
玄関を入ると小さなキッキン。その奥には硝子の引き戸。和弥に手を引かれその硝子戸を開け六畳ほどの畳の部屋に入った。
「和弥らしい部屋だね」
「そうか?」
ほとんど何も置いてないガランとした殺風景な部屋。初めて和弥の部屋に行った時の事を思い出す。
「うん。ホント、変わらない…」
懐かしさで少し微笑んだ私に、和弥は首を振り「変わったさ…何もかも…」そう言った。
「そんな事ない。変わってないモノだったある。私の気持ちは、ずっと変わってない…」
「真央…」
再び抱き寄せられた時には、もう私の気持ちは決まっていた。だから、ごく自然に唇が重なる…
あぁ…懐かしい和弥の唇。
でもこれは、決して許される事のない過ち。私達は多くの人を裏切り罪を犯している。
分かっていても止められなかった。止められるはずがない。この世で一番、愛しい人だもの…ずっと、待ち続けた人なんだもの…
私は夢中で和弥の首に手をまわし、つま先を立て和弥を求めた。
和弥…
潤んだ瞳から、一粒の涙が零れ落ちる。