愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
次の日、仕事を終えた私は龍司に電話を入れタクシーで彼の会社に向かった。
誰もが羨む龍司との結婚…幸せであるはずの私の顔に笑顔はなかった。
本当に好きな人は、龍司じゃないから…
程なくタクシーは減速し、真新しい高層ビルの前で静かに止まった。するとタクシーを降りた私の元にビルの中から出て来た人物が近づいてくる。
「あ…和弥…」
昨夜の情事が頭を過ぎり、体の中心が熱く疼く。
「部長に頼まれて待ってた」
「龍司に…頼まれて?」
「行くぞ。部長がソワソワしてお待ちかねだ…」
和弥は表情を変える事なく至ってクールにそう言うとクルリと向きを変えビルの中へと歩き出す。
エレベーターの扉が閉まるのを待ち、私は和弥の手を握り額を彼の肩に乗せた。
「行きたくない…よ。和弥…」
「…俺だって…行かせたくない…でも…」
分かってるよ…家族の為に会社を辞める訳にはいかないんでしょ…?
和弥が仕事を失ったら病気の妹とお父さんの入院費用だって払えなくなるし、生活も出来なくなる。ましてや、お父さんに関しては龍司が援助してるんだ…
エレベーターの扉が開く寸前、私達の固く握られた手は惜しむ様に離れていく…
静かな廊下を歩き突き当たりのドアを入ると、小ぶりのカウンターの奥に座る女性が私達に気付き立ち上がった。
「お待ち致しておりました。北沢様」