愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
「真央には婚約者がいるんでしょ?」
沙紀の言葉にドキッとして顔を上げる。
「和弥君の上司の部長…次期社長なんだってね。そんな凄い人が居るのに…真央は欲張りだよ」
「沙紀…」
「お願い。もう和弥君の事は忘れて。ここにも来ないで…」
声が震えだした沙紀の瞳から大粒の涙が零れ落ちる。
「ごめんね…沙紀。でも私…和弥の事が…」
「まだそんな事言ってるの?この状況を見て分かるでしょ?私と和弥君は同棲してるの!!結婚を前提に付き合ってるのよ!!」
…結婚?
「じゃあ…今年のバレンタインに和弥が会ってたのは…沙紀?」
「そうよ。当然じゃない!!彼女なんだから」
「でも、和弥はただの女友達だって…」
すると沙紀は呆れた様に笑い大きなため息を付く。
「真央、相変わらず鈍いね。バレンタインだよ?普通に考えたら分かる事でしょ?ただの女友達のワケないじゃない」
「あ…」
そうだよね…沙紀の言う通りだ。特別な日に一緒に過ごす相手がただの友達のワケがない。私ったら、どこまでおめでたいんだろう。
一気に体の力が抜けガックリ肩を落とす。
「何も知らなくて…ごめんね…沙紀」
私は一言そう言うと立ち上がり部屋を後にする。覚束ない足取りでフラフラと階段を下りると、アパートの前の縁石に座りタバコを吹かしていた和弥が私の足音に気付き顔を上げた。
「和弥…」
「真央、すまなかった。沙紀は酷い事言ったんだろうな…アイツの事、許してやってくれ…」
沙紀を気遣う和弥。私より沙紀が好きなんだね…
「うぅん。酷い事なんて言われてないよ」
和弥は少しホッとした顔をして微笑んだが、すぐ険しい表情に戻り意外な事を言ったんだ。
「俺と沙紀の事、新川部長に何も聞いてなかったのか?」