愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
玄関を出ると龍司の車が私の前に横付けされた。
「真央、早く乗れ!」
「うん」
後部座席に体を入れるけど、ボリュームのあるドレスが引っかかって身動きが取れない。麗子と美奈子が必死になって車に押し込んでくれようやくドアを閉める。
「とばすぞ。掴まってろ!」
急発進した車が猛スピードで走り出しタイヤを鳴らしながら坂道を下って行く。
お願い、間に合って…
車が国道に出ると龍司がバックミラー越しに私をチラッと見た。
「真央…綺麗だよ…最高に綺麗だ…手放すのが惜しい…」
龍司…
「ごめんなさい…」
彼の気持ちを考えると、何度詫びても足りないのかもしれない。でも、謝る事しか出来ない。
「実を言うとな、美奈子さんと沙紀さんがしつこく仕事先や実家まで訪ねて来て、正直うんざりしてた…真央と桜井の気持ちを何度も聞かされ心が揺れたが、今朝まで真央を諦める事を躊躇してたんだよ。
でも、今朝、俺の所に来たのは彼女達じゃなかった。もう一人、真央と桜井を大切に思ってる奴だった」
「もう一人?…誰なの?」
「森本…俊…そんな名前だったな…」
俊が…まさか…
「態度がデカくて生意気な事ばかり言う下品な奴だと思って無視して車に乗ろうとしたら、いきなりそいつが俺の前で土下座して、顔を地面に擦り付けながら言ったんだ…
『真央と和弥の仲を裂かないでくれ』って…『俺を殴っても蹴ってもいい。気の済む様にしてくれていいから真央を和弥に返してやってくれ…』そう言って泣いてたよ…」