愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
私は大真面目でそう言ったのに、龍司は「はっ?」と声を上げると大爆笑してる。
「ま…お…余り笑わせないでくれよ。運転出来ないじゃないか…そんなの気にする事ない。結納金は返す必要はないし、ましてや倍返しなんて考えなくていい」
「でも…」
「あれは、俺からの真央に対する御礼だと思って取っておいてくれ。真央という最高の女性を愛せた事への御礼だ…」
「龍司…」
優しすぎだよ…龍司。私は、こんな優しい人と別れようとしてるんだ…
全て完璧な龍司じゃなく和弥を選んだ理由は、ただ一つ。
和弥の側で生きていく事が、私にとっての"幸せ"だって、やっと気付いたら…もう自分の心に嘘はつけない…
ごめんなさい。龍司
涙を拭おうとした時、夢中で握り締めていた沙紀から渡された和弥からの手紙に気付き、ハッとした。
それは、夏休み前に配られた海水浴の連絡プリントだった。慌てて書いたのだろう。その裏に書き込まれた文字は少し乱れていた。
《 真央へ
真央、俺は明日16:25の新幹線で九州へ引っ越す。
その事を、どうしても真央に伝えたかったけど、真央の携帯は通じないままだ。俺の事、怒ってるのか?嫌いになったのか?
俊に昨日、真央が泣いていたって聞いたよ。そんなに辛かったなら我慢する事なかったのに…
俺は引っ越す前にどうしても真央が欲しかった。そんな俺の勝手な思いで真央を傷つけてしまったのなら謝る。
真央がどうしても俺を許せないのなら仕方ないけど、もしまだ俺の事想っててくれてるなら、明日、駅に見送りに来てくれないか。
でも、どうしても俺がイヤだって思ってるなら来なくていい。
その時は、俺は真央をキッパリ諦めるよ。
一応、転校する高校と新しい住所と電話番号を書いておく
真央、来てほしい待ってるから 和弥 》