同期が急に変わったら…。〜将生side〜
それから、
1ヶ月。
もうすぐ忙しい年末だ。
同棲を始めて、
毎日、ウチに帰るのが楽しみで、
いずみがいつも笑顔で迎えてくれる。
今までの人生で、
こんなにウチに帰りたいと感じたのは、
いつ以来だろうか。
仕事も順調にいっている。
最近は、かなり忙しいが。
遅くなっても、
いずみは、飯を待っていてくれる。
先に食べろと言うのに、
頑固なヤツだ。
いずみの引き継ぎも着々と進み、
2課から来た松岡も
毎日、頑張ってくれている。
俺といずみの噂が立つ事もなく、
今まで通り、
平穏に過ごしている。
2週間前には、
お互いの実家に行ってきた。
これこそ、
人生初の緊張感だった。
勝手に同棲を始めた事を
報告しなければいけなかったから。
一発殴られる覚悟で
いずみの実家に向かった。
初めて会ったいずみの両親。
いずみの母親を見て、
笑いそうになった。
いずみとそっくりだった。
自己紹介と挨拶を済ませて、
『勝手に同棲を始めて
申し訳ありません。』
いよいよ、
怒鳴られるかと思ったら
『藤森くん。ありがとう。
いずみを頼むよ。不器用な子だから。』
いずみの父親に
いずみを任せられた。
『藤森さん、
この子、良かったら貰ってね。』
母親まで……。
『はい。ありがとうございます。
その時は、改めてご挨拶に伺います。』
『いいわよ、あげるから。』
『あ、いや…。』
『ウチは返品は受け付けないわよ。』
『ハハハっ。返品はしません。』
『ちょっと〜、物じゃないわよ、私。』
いずみの性格は、
お母さん譲りだな。
いずみの実家では、
怒鳴られる事もなかったが、
俺の実家では、
こっ酷く叱られた。
『大事な娘さんを、何やってんだ!』
返す言葉もない。
『いずみさんを、大切にしなさい。』
『わかってる。』
『大切にしてもらってます。』
いずみがそう言って、
ね?
と、優しく笑った。
こいつ……。
一生、大切にするよ。