同期が急に変わったら…。〜将生side〜



『ちょっと悪い。
コーヒーそこに置いといて。』



抱きついているいずみの腕を外し

寝室に向かった。





ダイニングテーブルに

白黒のマグカップ。





いずみと一緒に

この部屋にやって来た。





熱いコーヒーの湯気が

ホワホワと上がっている。





『いずみ、座って。』

『うん。』





向かい合わせに座り、

いずみを真っ直ぐに見つめる。





コトッ。





『いずみの好みか分からないけど。』

『………。』

『つけてみて。』

『………。』

『つけてやろうか?』

『………うん。』






テーブルの上に置いたのは。




婚約指輪。





いずみの指のサイズも調べて、

先週、注文して、

今日出来上がってきた。





そっといずみの薬指に

ダイヤが光る指輪をはめた。





『いずみ。愛してる。』

『………。』

『いずみ?』

『………グスっ。グスっ。』

『泣き虫め。』

『うっ。グスっ。』

『いずみ。おいで。』




いずみは、

向かいのイスから立ち上がり

座ったままの俺に

後ろから抱きついた。




俺の胸の前に回された

いずみの手には

キズ一つない指輪が輝いていた。





『将生っ。グスっ。ありがとう。』

『はいはい。』





また、泣いたな。





まあ、これは想定内。

いずみは、意外によく泣く。




『最近、よく泣くなあ。』

『うっ。将生に泣かされたぁ。うっ。』

『ハハっ。アホか。』




こいつ、マジで可愛い。





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