同期が急に変わったら…。〜将生side〜
『課長。
桐谷さんなら、厳しいっすよ。』
厳しい?
…意味がわからん。
『何の話だ?』
『桐谷さん。
一緒にいて楽しいっすよね。
あー、今は、
彼女との方が楽しいっすけど。』
『今は、ってなんだ?』
『あー、もう時効ですけど。
俺、昔、桐谷さんが好きだったんすよ。
彼女と知り合う前だから…
2年半くらい前ですけど。』
2年半前か。
こいつが飲み会で酔い潰れた、
あの後くらいだな。
『そうか。』
『っつうか、俺だけじゃないっすよ。
桐谷さんを好きだったのは。
他にもいますよ。
でも誰も落とせないって有名っすよ。』
『へぇ。』
『俺もキッパリ振られましたけど。』
『……そうなのか?』
『同僚としては好きだけどって。』
『そうだったのか。』
……へぇ。
こいつ、いずみに惚れてたのか。
まあ、いずみは
そう簡単に落とせねーだろ?
俺だって苦労したんだ。
『課長、桐谷さんは難関っすよ。』
『ハハハっ。らしいな。』
それにしても、知らなかった。
あいつ、何にも言わねーし。
そんなに人気があったのか…。
なんか、ムカつく。
『でも…。課長ならイケますよ。』
『そりゃ、どうも。』
こいつ、俺が片思いだと思ってんのか?
何を見たら、そうなるんだ?
いや。
それよりも、いずみは俺のだけど?
『っつうか、
やっぱり課長の好きな人は
桐谷さんなんすか?』
『さあな。』
『当たりかー。楽しみっす。』
『あのなー、桐谷とは言って……』
『当たりでしょ?
この前、課長、書類見ながら
優し〜く笑ってたじゃないですか。
あれ、桐谷さんの書類っすよね?』
あー、覚えてたか。
なかなか鋭いじゃねーか。
あれは迂闊だった。
なんだよ。
飯になんか来るんじゃなかったよ。
『桐谷さん。
俺が告った後も、今までと何も変わらず
普通に接してくれたんすよ。
まあ、それが救いでしたけど。
だから、課長も大丈夫ですよ?』
俺が口説く設定かよ?
しかも、
振られるとこまで心配しやがって。
小泉、お前せっかちだな。
『だから、俺の事はいいから。
まあ、いいヤツだよな。』
『そうっすね。
いい人なんすよ。マジで。
でも、課長、桐谷さんとは、
仲はいいっすよね?』
『ああ。同期だからな。』
『一時期、
課長と桐谷さんも噂になってて。
それを、桐谷さんが
全然違うよー、って。』
『へぇ。そんな噂があったのか?』
『はい。
なんか、二人で食事されてたのを
誰かが見たらしくて。』
『あー。よく行くからな。』
『らしいですね。
桐谷さんが、
友達だもん、よく行くよ?
って普通に言ってたんで、
噂はすぐ消えていきましたけど。』
そんな事があったのか。
俺に言えよな。
あいつ、
どんな気持ちで答えてたんだよ。
急にいずみが愛しくなる。