恋するイフリート
「パン、パン、パンっ!」
笑顔の貴公子、カリフが再び手を鳴らす。
その音に、またまた三人の動きが止まり、彼に注目する。
その威力ときたら…
作者はこれから、カリフの通り名を
『魔物使いカリフ』
に戒名すべきか、真剣に悩まざるを得ない…。
三人の視線がカリフに集まった事を確認すると、
カリフは続きを語りだした。
「…はい!この事から、イフリート、あなたの魔力は使える、という事が証明されましたね?」
カリフの言葉にイフリートはすかさず、反論した。
「…でもっ!!何故、最初使えなかったんだっ!?」
カリフは、イフリートの発言を、笑顔の下に浮かぶ青筋で抑制する。
「…イフリート。人が話している時は最後まで聞くもんですよ!」
必殺切れ笑い…。
否応なしに、イフリートは口を閉ざす…。
「…さて…皆さん、私が最初に話した事を覚えていますか…?」
カリフのこの質問に、三人がお互いの顔を見回す…。
そして、『何の事だか解らない』と言ったような表情を浮かべると
個々の視線がブーメランの如くカリフへと戻ってきた…。
愚問である…。
この三人が1ページ前の出来事ですら覚えているようには思えない…。
『この場には…
馬と鹿しか居ないのでしょうか…?』
カリフが密かにそう思った事は、三人に秘密にしていよう…。
「…では…おさらいから始めます…」
まるで、小学生に向けた授業のようだった…。
「最初に私が述べた事…
イフリートの封印を完全に解くには、封印を解いた人間を幸せにする事…、
そして…
イフリートの魔力の発動には、条件が揃う事、です」
ここまで、親切な解説付きで述べれば、読者の皆様ならもうお分かりかと思うが…
三人は、何処で頭のネジを落としてきたのか、まだ、
『ほけーーーっ』
とした表情で、カリフを見つめるばかりだ…。
『あぁ…皆の顔が、馬と鹿にしか見えなくなっきた…』
カリフがそう思った事も、ここだけの秘密にしておいてやろう…。
彼の役割は、想像以上に大変なのだから…。
憎らしい程、呆けた顔で見返す三人に、イラつきを感じながらも、
カリフは気を取り直して続きを語る。