【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
「…何で…ここに…氷室部長が?」

満君も豊島さんも

なぜ氷室部長がここにいるのか

わからないって顔をしている。

「…羽美花…嫌な想いしたな。
一人にさせて本当にごめんな。」

氷室部長はもう一度私に謝った。

首を横に振った私に

切なそうな顔をしながら

「…俺が助けてやる。」

と、私の頭を撫でながら

自分のハンカチで

私の涙を軽く拭いてくれた。


そして

冷たくて鋭い目つきで

満君と豊島さんの2人を睨みつけた。

「……….ひっ!!」

睨まれて声が上擦る満君と

黙ったままの豊島さんを前に

「…笠置と豊島…。
俺はお前達を許さない…。
よくも、羽美花を傷つけたな…。」

怒りを含んだ低い声で

氷室部長が口を開いた。

「「………。」」

2人は黙ったまま目を見開いていた。


……部長が怒ってる。

こんな顔…私は今まで見た事がない。

部長は2人を睨みつけたまま

「…話は全て聞いていた。
今の立ち話もな…。」

「…はっ!?…えっ!?」

驚く満君をよそに部長は話を続けた。

「…そんな事だろうと予想はついてた。
総務や人事や経理の部課長達や
俺や藤堂に浮気を否定したのも
『軽率な行動を慎む』と約束したのも
全部嘘だったと言う事をな?」

「「…………。」」

「…笠置。
羽美花はお前の親友の妹なんだろ?」

「…えっ!?…あの、何でそれを…。」

「…お前は羽美花と付き合う時に
彼女の兄貴に
『絶対に羽美花を裏切らずに
大切に愛する事を約束する。』
と、交際の許可を貰ったんだろ?
…なのに何だ、このザマは?」

「…あの、これは…その。」

「…お前を信じて、心から愛して
幸せな将来を夢見ていた彼女の気持ち
身内同様に迎え入れるつもりでいた
彼女の両親や兄貴の気持ちを
知っておきながら、お前は欺いた。
そして、略奪目的で現れた
豊島の誘惑にのって浮気して
挙句の果てに、羽美花を捨てて
豊島と結婚前提で付き合うだと?
…馬鹿馬鹿しいやら、呆れるやら。
笠置は…男の屑だ。」

そう言って

氷室部長は私に向き直ると

ハンカチで再び私の涙を拭いてくれた。
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