【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
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それからと言うもの

彼女…野村羽美花とは

SコーポやA社で顔を合わせると

挨拶や他愛ない会話だけは

するようになった。

彼女は美しさに

日々磨きがかかっている。

でも、その美しさは

笠置に愛されているのであろうかと

複雑な想いが頭をよぎる。

…やっぱり辛い。

その笑顔も笠置には

もっともっと可愛らしく微笑む

素直な彼女がいるのかと思うと

モヤモヤ燻る嫉妬が俺を苦しませた。

俺は間違いなく

野村羽美花に惹かれている。

離婚してから女性を見ても、話しても

特別な感情を抱かなかった俺が

今堪らなく愛しくて、恋い焦がれてる。

でも、彼女が愛しているのは

笠置だけであり、俺じゃない。

社食で彼女が山谷や下里に

話していた事があった。

『氷室課長は私の『恩人』であって
それ以上の事は何もないよ。
私は笠置さんの彼女だよ。』と…。

…悔しい。

それ以上の関係はありえないんだな。

恩人だと思って貰える事に

嫌だと思うヤツなどいないだろう。

しかし、俺は『恩人』と思われたくて

助けたワケじゃない。

でも、俺はやはり好きな人には

愛されないのかもしれない。

『恩人』になりたい訳じゃないのに。

俺は感情を表に出したくなるのを

グッと堪え、溢れそうになる想いに

蓋をして接していた。


そんな俺にある話が舞い込んだ。

翌年4月1日付で

親会社Sコーポレーションへの

異動兼営業部長就任を打診された。

要するに引き抜きだった。

応接室に呼び出され

SコーポとA社の重役達を前に

直々に打診された俺は

大きな話に戸惑いはあったが

藤堂達からの強い推薦があった事を

聞かされた事と

『力を貸してくれ。』

と、Sコーポの重役に言われた俺は

「…わかりました。お役に立てるよう
精いっぱい努めます。」

と、その話を引き受ける事にした。



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