【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
***

12月22日の事。

この日の俺は

遠方にある研修センターに行き

部長研修を終日受けていた。

電車で1時間はかかる為

最寄り駅についた頃には

随分な時間になっていた。

夕食は作り置きしておいたもので

済ませようと思っていたが

足りない食材を思い出して

駅近くのスーパーに立ち寄った後

駐車場に向かって歩いていた。


…はぁっ…。

俺はため息を一つついた。

俺は25歳で離婚してから

毎年この時期…この季節は嫌いだ。

頭の中を駆け巡る

胸を引き裂かれるような辛い想いが

俺の中によみがえってくる。

あれからもう4年も経つのか…。

今日は研修があった事で正直助かった。

研修を受けて気が紛れた。

しかし、夜は一人で

日本酒熱燗か、焼酎お湯割でも飲んで

気を紛らわそう。

そう思いながら

駅ロータリーに差し掛かった時

向こうからコートを着た一人の女性が

重たそうなバッグを持ちながら

フラフラとしたおぼつかない足取りで

歩いて来るのが見えた。


何だ?女性の酔っ払いか?

そう思った瞬間

俺は立ち止まって目を見開いた。

見間違いかと思ったがそうではない。

…嘘だろ?

瞬きをしたが、それでも間違いない…。


その女性は…野村羽美花だった。


しかし、会社のいる彼女とは違う。

どこか、虚ろでぼんやりとしていて

とにかく足がフラついている。

それに彼女は確か

自宅の最寄り駅はここではないはずだ。

しかも、重そうなバッグ。

俺は早歩きで駆け寄ると

荷物を持っていない片方の手で

彼女の腕を“ガシッ”と掴んだ。


彼女の体が“ビクッ”と震えた。

彼女の名前を呼ぶと

恐る恐るこちらを向いてくれた。

俺は彼女の顔を覗き込む。

「…氷室部長。」

俺の名前を呟いたこの女性は

間違いなく野村羽美花だった。







































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