【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
消毒を済ませた俺は

「…笠置と豊島の件は俺に任せとけ。
決して野村さんを絶望的にさせないし
泣き寝入りさせないから。」

と、言って彼女を見た。

俺の口調が恐いのか

首を傾げる彼女の顔は

やがて再び強張り始める。

…俺が助けてやる。

彼女を傷つけた分以上に。

彼女は俺が守り、絶望から救う。

俺は彼女をずっと好きで愛していた。

彼女が愛していたのは笠置だから

俺はその隙間にすら入れなかったから

『恩人』のまま見守っていたのに。

笠置なら仕方ないと

割り切り始めていたのに…。


だから、俺は笠置を許さない。


「…笠置と豊島に絶対電話はするな。」

俺は彼女に釘をさして置いた。

彼女の気持ちが揺らがないように

情が移らないように、残らないように。

彼女を笠置の元に戻さない。


彼女の患部に絆創膏を貼り

救急箱を仕舞いながら

「…俺に任せとけばいい…いいな?」

と、彼女に視線を向けた。

彼女は顔を強張らせたままながらも

コクンコクンと頷いた。


…そうだ。わかればいい。


ごめんな…怖がらせたな。

俺は彼女の隣に座り直すと

彼女の肩を優しく“ポンポン”とした。


すると彼女が黙ってしまい

やがて時間を尋ね始めた。

そして、再び黙ってしまった。

何かに驚いているような

表情もしている。

何を黙っているのかと俺が聞いた途端

彼女は突然立ち上がった。

「…あのっ…氷室部長…。」

彼女は酷く慌てている。

何をそんなに慌てているんだ?

俺は立ち上がった彼女を見て

首を傾げた。


彼女は俺に頭を下げた。

「…申し訳ありませんでした!!
のこのこお邪魔して
シャワーやお食事まで頂いた上に
長話までしてしまって……。
あの…もう、こんな時間ですから
私……帰ります!!」

そう言って

彼女は駆け出そうとする。

「…ちょっと待て!」

と、俺は“ガシッ”と

彼女の右腕を掴んで引きとめた。


驚いた彼女は俺の方を振り返った。


俺は彼女に鋭い視線を向ける。

「…あ…あのぅ……。
なぜ…私、掴まれて……?」

戸惑いながら彼女が

俺に腕を掴まれた理由を聞いた。
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