【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
「…その心配はない。」
そう言い切った俺に彼女は驚いた。
『別れよう』と言った事を
褒めてあげたくなるよ。
大丈夫だ…。別れは成立している。
笠置は豊島と浮気した。
彼女を裏切り
昔の縁を元に戻そうとしている。
しかも、笠置は彼女と別れる事を
情事の中で仄めかしていた。
ならば、何も問題はない。
笠置もおそらく
自ら別れを切り出すよりも
助かったと馬鹿みたいに
思っているだろう…。
『それは、合意と同じだ。』
安心させるように、再び言ってあげると
「でも、私は…満君は…。」
再び彼女は笠置を下の名前で言った。
…『満君』
彼女がプライベートで呼ぶ笠置の愛称。
社内でも、菊田(山谷)や下里の前では
会話の中でも『満君』になっていた。
仕方ないと思うが…でも俺は。
「…アイツの名前を言うな!!」
と、つい苛立った声を出してしまった。
彼女はビクッと震えて
「…ごめんなさい。」
と、俯いて謝った。
…しまった。俺とした事が…。
「…悪い。そんなつもりじゃなった。」
俺は素直に謝ったが
「割り切ってるつもりでも嫉妬する。」
つい、本音を漏らしていた。
すると、顔をあげた彼女が
「…嫉妬…ですか?」
と、意外な顔をした。
…何だ?その顔は?
俺だって嫉妬はする。
君がずっと好きだったから。
笠置と交際していると
わかっていながらも諦められなかった。
だから…。
「…好きだった。」
「…欲しかった。」
俺は彼女に素直にそう伝えた。
俺の中でずっと言えなかった
愛の言葉を囁いた。
驚いた彼女の頬が紅くなる。
….もうひと息だ。
人を好きになるのに時間も日数も
俺の中では関係ない。
彼女が笠置を好きで
付き合っていた過去はわかっている。
すぐには忘れられないのもわかってる。
だけど、俺はもう我慢出来ない。
『恩人』から俺は卒業したい。
それぐらい好きで、今すぐにでも
野村羽美花が欲しくて堪らない。
俺は彼女の顎を軽く持ち上げた。
逸らす事をさせないように
視線を再び強く合わせた。