【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
昨夜のうちに

菊田からメールが入っていた。

菊田の妻の山谷から

昨日の夕方に聞いた伊坂の話を

聞いた内容が書かれていた。

既に彼女から聞いて知っているものの

菊田夫妻は昨夜の俺と羽美花の事を

知るはずがない。

当然まだ、言わない方がいい。

俺は知らなかったフリをして菊田に

情報提供のお礼と

今後もし目撃情報の証拠があれば

即、提供を頼むとのメールを送った。


菊田から聞いた事で

これを元に伊坂から

昨日の一部始終を聞く事が出来るし

是非聞く必要がある。

しかし、『見た』だけでは

噂レベルの扱いにされるだけで

証拠にならないのが目にも見えている。

2人が当然否定するし

経理は面倒を嫌い、揉み消しを謀る。


人事課の正田が

『証拠がないと動けない。』

と、真実なのに表沙汰に出来ず

悔しがるのがそれだ。

せめて、伊坂が笠置と豊島の

決定的写真でも撮っていれば

話はスムーズに行くが…。


伊坂は今日はまだ来ていない。


菊田は藤堂にも同様のメールを

送っているかもしれない。

昼に藤堂にも相談してみるか…。

俺のマンションにいる彼女にも

大事はないか連絡してみよう。

…まずは、仕事だ。

この件は一旦置いといて

気持ちを切り替えよう。

俺は彼女からのネクタイを一撫ですると

気合いを入れ直して書類に目を通した。

***

喫煙室からオフィスに戻ると

「…氷室部長。おはようございます。
ちょっと宜しいですか?」

出勤してきた伊坂が

俺のデスクへとやって来た。

「…おはよう、伊坂。何だ?」

すると

「…すいません…ここでは。
お時間取らせませんから
少しだけ…いいでしょうか?」


伊坂がやや不安そうに俺を見た。

課長を通さずに

直接俺に話して来ると言う事は

やはりあの話だと直感した俺は

「…わかった。
ミーティングルームで聞こうか。」

と言い、オフィス内の角にある

申し訳程度の広さしかない

ミーティングルームを指差した。




















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