【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
「…引き延ばしてすいません。
新幹線の時間もありますよね。
なるべく簡単にお話させて貰います。」

男性は私の顔を見た。

私は時間を見ながらコクンと頷いた。

「…さっきも言いましたけど
氷室咲輝翔さんの事で
俺は、野村さん…あなたと一度
話がしたかったんです。
単刀直入に聞きますけど
野村さんは氷室さんと
お付き合いされてるんですよね?」

私は目を見開いた。

えっ!?なぜ知ってるの?

一部の人しか知らない秘密を

私には初対面で、普段関わりが少ない

D社の人が知っているの?

黙ったままの私に男性は

「…答えてくれないんですか?
まあ…いいですけど。
黙ってるって事は
肯定の意味にもなりますけどね。」

男性はクスッと笑うと

「以前、俺が出張で
Sコーポレーションの近くに行った時
氷室さんとあなたを見かけたんです。
その時の雰囲気が
“恋人同士”じゃないかと思うくらい
氷室さんが優しそうでした。
あんな表情見たの久しぶりでした。」

そう言って男性は

コーヒーをまた一口飲んだ。

身に覚えがない。

そんな雰囲気で会話していた事あった?

この人は彼の知り合い?

「…意外と顔に出やすいんですね。
まあ、あなたにとっては初対面の俺が
何で氷室さんの話をするのか
気になりますよね?
いいですよ…教えてあげますよ。」

また不敵な笑みを浮かべた男性は

「…実は俺
氷室さんの義理の弟なんですよ。」

と、サラリと私に言った。

…はっ!?何て?

一瞬私は理解出来なかった。

「…正式には“元”義理兄弟でした。」

男性は話を付け足した。

元義理兄弟!?

「あの…義理の兄弟って?」

恐いけど確認したかった。

「…ああ…肝心な事抜けてましたね。
俺の姉は戸叶静花(とかの・しずか)。
旧姓は“甲田”と言います。
姉の静花と氷室さんは元夫婦でした。」

「…えっ!?夫婦?」

初めて聞く真実に、私は目を見開いた。

同時に頭の中が

一瞬停止したような気分になった。


この男性のお姉さんが

咲輝翔さんの元妻?

元夫婦…。

戸叶静花さん…。


初めて聞く名前に私は

何も聞いてはいない現実を

思い知る事となった。



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