【完】天使の花〜永遠に咲き誇る愛を〜
なかなか見られないと言われている
氷室部長のその優しい微笑みは
周囲の空気を柔らかく包むような
特殊な威力をもつと言われているくらい
本当に不思議な魅力がある。
亜美ちゃんや女子社員が
憧れるのがわかるくらい
いつ見ても
端正な顔立ちをしているから
モテるのが本当によくわかる。
でも…。
私にとっては氷室部長は恩人。
仕事もデキる尊敬出来る人。
今までそれ以上の感情を
もった事はなんてなかった。
なのに、今は何だろう…。
その笑顔を見ると
なぜか…泣きそうになる…。
「…野村さん?どうかしたか?」
2人きりのエレベーターの中で
氷室部長は私の顔をチラリと見た。
「…………。」
社内にいれば、噂なんて
嫌でも耳に入る。
それに、この人は賢いから
私が満君の事で悩んでるなんて
100%気づいているはず。
でも、なぜかわからないけど
何だか今はその優しい顔を見ると
泣いてしまいそうで
何も言えずに私は俯いた。
すると、氷室部長が
“ポン”と私の頭に手を置いた。
………えっ?
私は驚いて顔をあげた。
部長は視線を前に向けたまま
「…今は辛いだろうが
そのうち、笑える日も来る。
アイツが潔白だと言うのなら
信じてやれ。
…だけど、辛い時は辛いと
アイツに正直に吐き出さないと
余計に辛いぞ。」
「………はい。」
呟くように返事をした私に
「…野村さん、これやるよ。
食べて元気だせ。」
と、言って氷室部長は
手に持っていた小さな紙袋を
私に差し出した。
「…えっ!?あのぅ…。」
戸惑う私に
「…早く受け取れ!
誰かが入ってくるとまずい。」
と、急かされた私は
手を伸ばして受け取った。
その時、エレベーターが
営業部のある階で停まった。