イジワル同期の恋の手ほどき
お弁当修業三日目、少しずつ手際が良くなってきた。
今日の献立は、ミニ豚カツとアスパラベーコンとかぼちゃの素揚げ、プチトマトは彩りが美しくなるのと隙間を埋めるのに便利なので、毎日登場する。
もちろん、宇佐原の好物の卵焼きも毎日入れている。
昨日は五目豆も炊いてみたので、それも一品に加えてみた。
宇佐原が嫌いでないといいのだけど。今日はかなりの高得点を取る自信はあった。
けれども、食べ終わった宇佐原からは新しい注文が届く。
″スタミナばっちり。カツにもう少し、塩味効いてるとなおよし″
宇佐原のコメントを読んで少し落ち込んでいる時だった。
「泉田と木津、ちょっと」
営業一課の林野(はやしの)課長に呼ばれて、慌てて席を立つ。
泉田さんと一緒に私が呼ばれるって、何だろう、まったく心あたりがなかった。
席に戻ると、月世がひょっこりと首を伸ばして、「どしたの」と口パクで聞く。
「どうしよう。私、泉田さんと一緒に出張することになった」
「おめでとう! 良かったじゃない」
月世にバンと背中を叩かれて、やっと実感が湧いてきた。