イジワル同期の恋の手ほどき

二十分ほど横になったおかげで、気分がだいぶよくなった。

「もう大丈夫」

そう言ってシートを起こすと、宇佐原も起き上がって、じっと顔色を見て、私の手を握る。

「よし、血の気が戻ってきた。手もあったかくなったな」

すっと頬をなでられて、思わず首をすくめる。
距離が近くて、宇佐原がいつもと違うように見えてドキドキする。

「ほんと、ごめん……」

「謝ることない。ちょっとびっくりしただけだ。デートの時は気をつけないとな。緊張してるともっとひどくなるかもしれない」

「そうだね、気をつけるよ。ちょっとお腹に入れていい?」

持っていたビスケットを頬張って、水を飲むと、少し落ち着いた。
緩んだポニーテールを櫛でなおすのを待って、宇佐原はゆっくりと車を発進させた。
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