イジワル同期の恋の手ほどき
暑くもなく寒くもなく、ちょうどいい気候。絶好のピクニック日和だった。
「これから、どうする? 行きたいところ、あるか?」
「景色のいいところに行きたい」
宇佐原がガイドブックをパラパラめくり、「ここはどうだ?」と指差したのは、有名な建築家が設計した近代庭園だった。
「いいね、そこにしよ」
やっぱり宇佐原の選ぶ場所にははずれがない。
どうして私の好みがわかるのかな?
「そういうの、いいな」
宇佐原が優しく微笑んでいるので、不思議に思って聞き返す。
「えっ?」
「そうやって、なんでも、楽しそうにしてくれると、男としてはうれしい」
「そうなの?」
何気ないふうに答えながら、内心は疑問が渦巻いていた。
それは男性としての一般論?
〝男〟という言葉を妙に意識してしまう。