イジワル同期の恋の手ほどき

「え? だって、宇佐原は……たったひとりの同期で、大切な親友だし……」

「俺は、そんなふうに思ったことは、一度もない」

宇佐原のまっすぐにつきささる視線が痛い。

「それに、これは泉田さんに渡すお弁当の練習で……」

宇佐原が、大きなためいきをついた。

「それ、ほんとに信じてた? おまえって、ほんと、天然だな」

「違うの?」

わけが分からずに聞き返す。

「おまえの弁当、食べたかったから、言ってみただけだよ。泉田さんは単なる口実だ。弁当、毎日食べてたら、手料理も食べたくなった」

「そんな……」

宇佐原の予想外の告白に言葉を失う。

「おまえ、何の警戒心もなく、俺の部屋に来るし、おまけに素直に泊まるし」

突然、自分がとんでもないことをしていることに、今さらながら気づいた。

「あの、やっぱり……私、帰る……」
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