イジワル同期の恋の手ほどき
「試す?」
「嫌だったら、逃げ出せばいい」
そう言って宇佐原は、体を離すと、今まで見たことがないほど真剣な目でじっと見つめてくる。
宇佐原の手が頬を優しくなでている。
ど、どうしよう、『試してみろよ』、『逃げ出せばいい』、宇佐原が言った言葉が、頭の中でグルグル回っている。
胸の奥がぎゅっと捕まれるような感覚に襲われる。
ゆっくりと、宇佐原の顔が、近づいてきて、そのまま私はゆっくりとまぶたを閉じた。
次の瞬間、唇が重なる。
それは、うかがうようにそっと触れるだけの優しいキスだった。