イジワル同期の恋の手ほどき

″嫌じゃない″

自分の気持ちが意外だった。
宇佐原のこと、同期の親友としか、思っていなかったはずなのに……。

胸がつかえるようで、息が苦しい。
ドクドクと心臓の音が耳の中にまで響いてくる。

「逃げないのか? 逃げるなら、今のうちだぞ」

わずかに唇を離した宇佐原に、そう確認されても、体が動かなかった。

再び、唇が重なって、ぎゅっと抱きしめられた。
まともに呼吸できないほど、息が苦しくて、肩が大きく上下する。

「もう、止められないからな」

頬を優しくなでながら、そうささやかれても、言葉が出なくて。

止めてほしいとは思わなかった。
逃げ出したいとも。

ただただ、いつもと全然違う宇佐原の大人の魅力に圧倒されていた。


「俺、無理矢理じゃないよな? おまえの気持ち、無視してないよな?」

宇佐原が泣きそうな顔で、見つめている。
その揺れる瞳をただ見つめ返すことしかできない。

今まで見たこともない妖艶な宇佐原の瞳。
吸い込まれそうになるほど、色気を含んだその瞳に、私はぼーっと見とれていた。

「何とか、言ってくれよ!」

肩を静かに揺すられて、はっと現実に戻る。
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