滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
「…え?昭和六十三年…!俺より五つも年上かよ!!」
生年月日を見た彼が、思わず前へ身を乗り出して免許証に釘付けになる。
そして目を大きく見開きパチクリしながら驚愕した。
「てっきり年下と思ってたわ。びっくり」
彼は、はははと笑って再びハンバーガーを食べ始めたが、
何だか茶化されたような言い方で若干恥ずかしくなった私。
頬を赤らめ、むうっと彼を睨みながら私も負けずにハンバーガーに食らいついた。
「大人の一人旅ねぇ。何か意味深だなぁ」
ニッと笑いかけ、
私の心を見透かすような口ぶりで見つめてくる彼。
その姿に思わずドキッと心臓が大きく飛び跳ねた。
「まさか男関係?振られて腹いせに来た…とか?」