滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬

その言葉に思わず目線を伏せる私。


別に悪いことなんかしてないのに、
何故か罪悪感が生まれ私はだんまり黙ってしまった。



「本当は彼氏と来る予定だったんでしょ?キャンセルしようと思ったけど、キャンセル料金高いから渋々来た。ってとこかな」


まるで一連のやりとりを見ていたのかのように正論を淡々と話す彼。


しかし反論するところなどない私は胸のモヤモヤを抱えたまま、
彼の話を聞くことしか出来なかった。



「しかし英語も話せないのに、よく観光しに来たね。俺がいなかったら…」

「ーー彼が話せたの、英会話。だから全て任せるつもりだった」



他人事のように笑いながら話す彼。

その言葉をかき消すように口が無意識に動き出した。

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