滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
見た目は二十代前半ぐらい。
長めの黒髮で目鼻立ちがスッキリした、いわゆるイケメン顔。
体のラインもほっそりしていて、
モデル体型と呼ぶにふさわしいシルエットをしていた。
「で、親はどこ?迷子になったんでしょ?」
「へ?」
「家族旅行できたんでしょ?キミ高校生?」
「なっ…!」
たしかに私はチビだし、童顔だし、体型も子供みたいな体してる。
今だにアルコールを買うときとか店員に年齢確認されるけど、
まさかこんな場所でも間違われるなんてーー!
「しっ失礼ね!これでも成人してますっ!!」
あまりにも彼が真顔で心配そうに話しかけてくるもんだから、
私は慌てて財布から今年更新したゴールド免許証を取り出し、彼に突きつけてやった。