滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
ーーおかしいよ、俊介。
絶対変だ…、こんな顔見たことない。
あんなに好きで別れた後もまだ恋心を抱いていた思いが、
粉々に砕かれてそのカケラすら残らないほど俊介に狂気を感じた私。
「許さないぞ、俺のテリトリーの中から逃げ出したら」
グググ…と肩を掴む手に力が入りその痛みで思わず顔を歪めてしまう私。
冷酷な目線で見下ろし壁に押し付け私を追い込む俊介は、
もはや人間の姿をした悪魔のようにも見えてしまう。
ーーガチャガチャ!!
その時、外から扉を開けようとする音が聞こえてきた。
「あれ〜コピー室鍵かかってるじゃない〜」
と女性の声に、ハッと我に返った俊介が要約手と私から離れた。
そして何事も無かった様に鍵を開けて、俊介はそのまま部屋を去って行く。
「…あれ?夏目さんどうしたの?」
腰が抜けてその場に座り混んでしまった私を見た相手が、不思議な顔をして呟いた。