滴る雫は甘くてほろ苦い媚薬
嫌な予感が脳裏を過る…。
だけど心の何処かで信じたくない、認めたくない自分もいた。
でもあんな姿を見た以上確かな証拠が欲しい。
そしてどうか…と願う気持ちを裏切らないで欲しいと思うようになっていた。
クリスマスイヴ当日。
普段通り会社に出勤して、
普段通り仕事をする。
開発したケーキの売り上げを気にしながら一日過ごして、今日は真っ直ぐ家に帰ろうと決めた。
夜七時。
帰り道に通る住宅街にはイルミネーションがあちらこちらで光り、夜道が一気に明るくなる。
しかし一本細い道を通れば真っ暗な通りに逆戻り。
私はそこを一人で歩くと、
今日も少し距離を取った場所に怪しい人影がある。
その存在を確認した私はーー!
「!!」
私の突然の行動に驚くストーカー。
いきなり走り出した私は家と家の間の路地を曲がって、相手を撹乱させた。